何年かぶりにリツイートされたので読み返すとミスタイプがあったので書き直しました。(2019年5月10日)
飛行機は飛んでると翼の表面に衝撃波が発生するのです。これによって機体から気流が剥離して体勢が不安定になります。それを回避するために衝撃波の発生を出来るだけ遅くする。遅くする策として翼を薄くする、翼端を尖らせる、翼の長さを短くして縦横比を小さくする。羽を前後に角度をつける。などがある。羽の前後に角度をつける方法が飛行機の規模が違っても一般的に取られている方法。翼端を尖らせることは昔からやられていて、羽が先端に向かって細くなっている。つまりテーパーがついているのだ。レシプロ戦闘機などでは羽に後退角ではなく、心持ち前進翼のように前に向かって角度がつけられている。前進翼か後退翼のどちらも同じ効果がある模様。
で、後退翼。翼の周囲の空気の流れを飛行速度より遅くする。後退角を付けると同じ厚さの直線翼より翼弦が長くなり翼厚比が薄くなる。翼端の境界層が厚くなり翼端の失速が起こりやすいので失速を抑制するために翼端を曲げたり、太くしたりする。羽自体をそのまま太くすることはなくて、翼端に増槽をつけることで達成している。近年というほど新しくなくなったF-16などの翼端にミサイルを取り付けているあれも似た感じの効果を出している。ミサイルじゃなくてミサイルランチャー部分だと思うけど。旅客機などは翼端を曲げていることが多いね。もう一つ失速を抑えるのは境界層板だ。羽の上面に進行方向に向かって薄い板を取り付けたもの。境界層板は主翼の上以外でもエアインテイクと胴体の間にも取り付けられることがある。F-4などがよく見かける例だ。主翼にきり欠きや前面部分の一部をずらしたりしても似たような効果がある。
てなことで、後退翼が実用化された当時は直線翼の戦闘機を後退翼に変えるだけで性能が上がることもあった。しかし斜めになった板を片持ちで二枚も保持しなければならないのは構造上難しかったようで、後退角にすること事態が大きな仕事だったようだ。この後退翼を突き詰めると延長上にデルタ翼があることが分かる。