昭和三十四年、マイカーが流行り出した頃のおだやかな町。山間の道を走る乗用車の遠くが静かに揺れる。その揺れが徐々にぼこぼこと隆起したと共に車に迫ってくる。地面が割れて巨大な生物が現れた。ドリルのように尖った鼻先、兜のような頭から続く、鎧のような背中、大きなショベルの様な手と足。しかし、逃げる人たちはそれを確認することも出来ないくらいの恐怖の中、車は一斉に向きを変えて逃げた。大きな咆哮と共に地上に現れた巨大生物は、車達に向かって歩き出す。やがて立ち止まると口から雷のような光線を吐いた。最近舗装されたばかりの道路も、アベック達の乗る真新しい自動車たちもみんな光線に飲み込まれ爆発した。その時、車の破片が巨大生物に飛び、首をかすかに傷つける。
事件の報告を受けた町長は自衛隊の出動を要請する。同時に特別対策室を設置した。
巨大生物は、その間も町の畑や家々を踏み潰すなどして破壊を繰り返した。
航空自衛隊は最寄りの基地から飛行部隊を送り込む。
特別対策室に参加する動物学の権威、猫川博士は巨大生物は動くものに興味をもつ。それを利用できないかとアドバイスする。
戦闘機部隊は巨大生物をぐるぐると回り始める。巨大生物はそれに呼応して目を回して倒れてしまった。戦闘機は巨大生物に20mm機関銃で迎撃するが、うつ伏せになった巨大生物の、鎧のような背中は全てを跳ね返してしまう。このまま気絶した巨大生物が横たわったまま時間が過ぎる。
対策室で次の作戦の会議が始まる。会議では地元住民からの苦情、進展の見えない状況への抗議が相次いだ。
猫川博士は、飛行機部隊から撮られた写真で巨大生物の写真を見て、首の切り傷に注目した。硬いのは頭と背中、肩などうつ伏せになった時に見える部分で、胸や腹などは柔らかいのではないかと推測した。そこで、立ち上がった瞬間を狙って至近距離まで近づいて特殊ロケット弾を打ち込んではどうかと提案される。特殊ロケット弾とは、大型動物の捕獲用に開発された心臓停止剤を改良して弾頭にしたものだ。作戦は単純なものだが、実行には巨大生物に最大限近づく危険が伴う。この作戦に志願する男がいた。稲妻五郎である。五郎は最初に巨大生物が初出現に遭遇した一人で、その時同乗していた彼女を亡くしていたのだった。特殊車両に五郎の他志願した隊員計三名が乗り込みドグラへ向かった。
巨大生物は対策室でドグラと命名されたのだった。
五郎たちを乗せた特殊車両は静かにドグラに近づき、その時を待った。
長い沈黙の後にドグラが目覚め、立ち上がる。その瞬間、五郎はロケットランチャーで特殊ロケット弾をドグラに打ち込んだ。ドグラはもがき苦しみ暴れ、光線を辺りに吐き散らす。それに巻き込まれる五郎たち。ドグラは絶命する。五郎たちは大きな怪我を負うが全員生きて救助された。
ドグラは猫川博士の研究室で調査が開始、町は復興を目指して動き出した。
end