11/23はゲームの日。

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11/23はゲームの日。
ゲームと言えば喫茶店にあるテーブル型の筐体のインベーダーとかピンポンのゲームが郷愁を誘う。あれは年月が経った今だからではなく、出現当時から郷愁を誘っていた。
郷愁を持って生まれたテーブル筐体が二十歳くらいを迎えた時、僕は久しぶりに会った友人と寂れた喫茶店に何気なく入った。寂れていたからではない、喫茶店に入りたかっただけだ。
そこは表通りに面しているにも拘らず、薄暗く、まるでバーを居抜きで使っているような店だった。久しぶりに会った友人とは当然のように話は弾んだ、漫画も読んだ。この寂れた風合いに合わせるように少年ジャンプの最新号もananもVOGUEもない。週刊漫画ゴラクとか漫画アクションなどのバックナンバーがズラリとでもなく、無造作にマガジンラックに突っ込まれているのだ。
ここで迷走王 ボーダーの衝撃的な回を読む。全ページがブルーハーツの歌詞で構成されているのだ。歌詞をテーマに物語が進むのではなく、歌詞がそのまま見開きなどで書かれ、解説されるのだ。この衝撃はその置かれた状況もあって強い印象になっている。なんだかわからん暴力的なまでのブルーハーツ礼賛の回は強烈だった。これだけでも今ここにいる価値がある!とか意味不明なことを思ったりした。ブルーハーツの曲を知り、良いと思っていることに身近に賛同者がおらず、薄暗く思い入れも無い場所で、見ず知らずお漫画で思いを共有しただけのことだ。友人はどうしたのだ。すでに懐かしさより毎日会っていた学生の頃の気分になってしまって、存在が希薄になっていた。
懐かしさと共感を持って立ち去ろうと支払いに立つと、そこにはインベーダーゲームのテーブル筐体とそこに座る中年の男がいた。店の雰囲気と馴染みの良い風体の男は、やる気が見えない店員(オーナーか不明)の中年の女にゲームで勝った点数を言って金を貰っていた。
僕らは懐かしさも気持ちの共有も台無しになるくらいの澱みをくぐって店を出た。

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