弾射音さんの『ぱおにゃん? 弾射音ショートショート集Vol.2 』を担当しました。
それではメイキングです。
デザインフォーマットをvol.1で作ったので、全体に入る絵を主に考えます。弾射音さんからキャラクターを使って欲しいとのリクエストがあったので、それも考慮します。むしろリクエストを前提に作っています。実写でも良いよと云われてもいたので、それならキャラクターを実写に合成しようとモデリングしました。仕事で3DCGを使うのはずっと躊躇していたのですが、そうばかりも言っていられないので挑戦しました。今まで作ってたじゃんというのは、まあいいじゃないですか。
今回は精密に作り込むより、ざっくり作る方向でモデリングしました。
毎回手書きだったり写真だったり3DCG合成だったり、忙しいことこの上ないですが、何でも出来るアピールではなく、この内容にはこの絵が合っているのではないか、または予算の都合上、これがベターじゃないかという判断の元にグラフィックデザイナーの自分がイラストレーターなどの自分へ発注する感覚です。基本はグラフィックデザインで、絵やイラストレーターという担当者が中心になることは無いです。
背景は実写です。試しに以前撮った写真を合わせました。
雰囲気を掴んだところでモデリングの修正をします。
目とか口とか。口は殆ど見えないね。
想定していた背景は駅前なので、駅へ行って撮ってきましたが。
合成してみると、迫力の点で弱いかな。光の具合を馴染ませて看板の文字を変えました。
変えましたと簡単に書きましたが、象のモデリングより手間かかってます。
それならば、元のバーの雑居ビルが並ぶ写真ならどうかと合わせてみると路地にぎっちりになっている象が画面に暑苦しく物語的にも合っているかと思い、こちらも作り進めました。バーの看板の文字をショートショートの題名に変えています。こちらも変える作業がそこそこ手間かかってたり。3DCGはモデリングは見栄えがするので作業が大変そうに見えるけど、画像の修正や変更も結構手がかかります。
どの辺りが掛かる手間かというとパースに合わせることと色、エッジのボケ具合です。
どちらとも同じ作業として3DCGソフト、ウチではLightWaveで背景に使いたい写真と象の影を受ける板ポリゴンと象をレイアウトし、ライトを大凡写真にあわせてレンダリングします。カメラも写真のレンズと出来るだけ合わせます。出来るだけなのは、絵としての見た目で合わせているからです。数値上あっていれば正確だけども絵としての面白さに欠けるなら変えればいいと思うんですよ。
で合成する為に背景、影、象をバラバラにレンダリングします。全くバラバラに見えませんが、象の影をレンダリングした画像です。
素材をPhotoshopでまとめます。
背景画像のエッジが甘いので、シャープな象のエッジを甘くします。主にぼかすのですが、全体を同じ量でぼかすとただボケた象になるだけなので、エッジと手前に来る所はぼかす量を調整します。作業として同じ画像で違う量のぼかしをつけた画像を重ねてマスクで欲しい部分だけ使います。
白が完全に真っ白になっていたので写真にあわせて白のレベルを上げておきます。写真の一番白い部分の色をトーンカーブのスポイトで調べて象のトーンカーブを調整します。全体を上げてしまうとただ黒くなっていくので、白以外の部分は上がらないように且つ自然になるように調整します。
画像に関してはこんな具合です。文字をあわせて完成です。
駅前合成はこのように。青空の抜けは捨てがたいが、やはり巨大感を強調したいので、飲み屋街方面で。
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