戦国自衛隊(1979年 日本 監督/斎藤光正)
戦国自衛隊は自衛隊が戦国時代にタイムスリップしたらというIFを初めて映像化することを許可したという点と戦国自衛隊という強烈にキャッチーなタイトルが群を抜いて素晴らしい。他はあんまりなんだよね。ただ自衛隊がタイムスリップして自滅するだけなので、自衛隊が戦国時代にいる以上のアイデアが無い。作られた時代1979年はまだアクションと言えば時代劇的な見栄を切るような演技が主流なのか、申し訳ないが嘘くさく見える。自衛隊員もチンピラかやくざみたいで、まかりなりにも極限状態を意識した訓練をしているはずなのに、発狂したような演技とかヘルメットは外すのにサングラスはしてるとか、刀を扱えないとか、腕を広げて走るとか、やたら発砲するとか、2016年12月に見るとげんなりする。昔の映画だから仕方がないとすると黒澤明の時代物とか、座頭市とかどうなんだよ、でもあるし。自衛隊員が狂言状態に弱すぎると感じてしまう演出でした。強いのは千葉真一だけ。侍が体力的にも精神的にも強すぎる。特に戦略が物凄く立つ印象になっています。だから最終的に自衛隊が負ける。結局自衛隊は時代から自然に排除されることになります。オチは原作小説とは違います。原作のように自衛隊が歴史を改変しようとするが、すべての行いが改変ではなく、歴史になっていく、時間には抗えない落とし方がいいなと思いましたね。
戦国自衛隊1549(2005年 日本 監督/手塚昌明)
1549については以前に見ていた。
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こちらの方が映画としてはきちんと作られていて、現実をできるだけ反映させたフィクションを考えている。もちろんフィクションならではの部分もたくさんある。主人公の江口洋介と鈴木京香は戦闘中でもヘルメットをかぶらない。江口洋介に至っては最後は戦闘服すら着ていない。当然ヘルメットをかぶると顔が見えづらくなるのでかぶらないんだが。
こちらはタイムスリップという事をすごく重要視していて、リメイクでありながらオリジナルの戦国自衛隊の続編のような雰囲気になるように冒頭にタイムスリップする一派を先に作っている。この一派を救出するのがこの映画のミッションになっているが、最終的に最初の組を殲滅することになる。
こちらの自衛隊員は自衛隊員っぽい。最初にタイムスリップした組は現地で生きることを選んだが、その選び方の戦略がきちんとしていて、戦国時代に馴染んていっている。二組目は逆の発想で現地に向かうが、こちらもできるだけ冷静に行動しようとしている。オリジナルでもやってはいるんだが、正気を失っている感じがする。アクションシーンは予備動作がフラグのようになっていて、一対一で組みあうと二人とも死ぬとか、弾の当たり方が都合が良いとか、最終兵器の爆弾に最終感が低い大きさで大人二人で持って歩けるサイズなんだもんなあwハリウッドのアクション映画的なアイテムとしては何しろ小さい。でも持って歩けるサイズじゃないと現代へ持って帰れないからね。
良かったなと思ったのは、鈴木京香さんが女性を前面に出した役じゃなかったこと。女性がそこにいる意味が無いくらいだった。もちろん、女性隊員だから体力が未熟という部分は演出されている。天母城もアニメ的要塞として格好良かった。石油の精製シーンとか見たかったな。
自衛隊員の印象というのはいろいろあるだろうから決めつけは良くないが、僕は自衛隊員は極限状態でも理性的に行動する方が良いと思っているので、というか、きちがいみたいに「ケ、ケ、ケ、ケ、ケ、ケ!ひゃっはー!」とか言い出して機関銃を乱射するのは単なるバカにしてか見えないので好きじゃないなあ。