印刷物の解像度は印刷会社で実務に関わる人くらいしかはっきり分かっていないと思います。特にイラストレーターとか漫画家とか。作業中はともかく、納品データは思っているより解像度は高くなくてよいです。適正解像度以上あったらもっと高精細に印刷できるのではないかと思うのは自由ですが、飽和した解像度は無視されるだけなのですねぇ。落しが印刷物の場合、どうやったってプリントデータを作っているに過ぎないので、切ない話ですが、ここに作家性の気持ちを持ち込まないほうがよいです。なぜかというと無意味だからです。作家性は書いた作品の中に込めるだけにしたほうが建設的だと思います。
それでは説明です。
これは印刷サイズでA4程度あります。
こうですな。240dpi。本当はドットではなく、ピクセルなのでppi(ピクセルパーインチ)ですが、慣例でdpi(ドットパーインチ)と表記し、「ディーピーアイ」と発音します。
240dpiって全然足りないじゃないか!普通350dpiって言われてるじゃん。こんなの印刷したらざらざらになっちゃうよ!……って思うでしょう? 答えはなりません。印刷物を目視で確認してもこのような絵や写真のような自然画はジャギーもノイズも確認できません。当然ですが不可逆圧縮をしているわけではないのでブロックノイズも出ません。特にデータで仕上げた画像はそこそこエッジが出ているので、このくらいの解像度でも問題ないのです。不安なら仕上げにアンシャープマスクを軽くかけてやればよいです。これは描いているものによるので各々ノウハウ作ったらよいと思います。
さて、それでも心配だ!と言う人は画像解像度の自動設定をクリックしましょう。自動解像度設定というボックスが出てきます。ここにスクリーン線数を入力します。
スクリーン線数ってなんだ!? どのくらいの数値を入れたらいいんだろう!?と言う人は、実は印刷に関わるには知識不足なんです。この場にいる資格無しなくらいです。でもイラストレーター(特にアニメっぽいキャラクターを描く人とか)や漫画家は知らない人もいるのではと思われます。
スクリーン線数は長さあたりの点の密度なんだけど、なんで線数なのに点なのか?という話まではあまりに初歩過ぎるので、さすがに半年ロムれと言わざるを得ない部分です。もう一つの数値に関してはある程度決められています。モノクロなら100線(新聞程度の紙質なら80線)4cなら180線程度です。しかし、紙質や印刷方法などによって変わるものなので、事前に打ち合わせておくとよいです。しかし殆どの場合は先に挙げた数値で足ります。
ここに180と入れて、画質を標準にしOKをクリックすると解像度は270dpiになります。やっぱり足りていないじゃないか!なんですが、実際には問題ないです。問題ないというのは印刷物は72dpiでも印刷できます。「そんな解像度じゃ印刷できないんじゃ!ぼけ!」と言って印刷されないとかそういうことは無いんですね。もしかしたら物によっては72dpiで全く問題なく綺麗に印刷できる場合もあります。ベタの四角形とかね。解像度が必要な場合はどんな時か、解像度が低いとどのような表現になるかを知っていると応用効くと思います。
画質を高いにすると解像度は360dpiになります。350dpiじゃないのか。と思いますよね。僕も思います。若干うわさとファンタジーの部分がありますが、解像度は3で割り切れる数値がよいです。端数は切り捨てられるので、少ないよりは多いほうが安心ですが、出来るなら割り切れるほうがよいのですね。
ですので、解像度は適正数値がある程度機械的に導き出されるものでありながら、内訳を理解していれば軽いサイズにすることも可能なのです。可能ではありますが、印刷屋さんには面倒くさがられたり、レギュレーションを守っていないことは事実なので、注意されたりすることもあります。
おまけです。モード変換とファイルフォーマットについて。
殆どの人はカラーであればRGBモードで作業されていると思います。印刷にはCMYKモードに変更する必要があります。なぜかはもういいでしょう。検索してくださいな。
正しいやり方はプロファイル変換で変換後のカラースペースを選んでOKをクリックします。どんなカラースペースがよいかは印刷状況で異なるので事前に打ち合わせましょう。なんですが、
単にCMYKモードを選んで変換しても印刷できます。解像度に戻りますが、必ずしも用意された仕様でなくても問題なく印刷できるのです。あっちは言われたとおり、こっちは分からないから、難しいから簡単なやり方で。というのは、なかなかのご都合主義。以外にもどっちもてきとうで何とかなるのでありました。もちろん、どちらも厳密に設定しても印刷できます。
入稿または納品のフォーマットは先方のリクエストに答えれば問題ないことというと、不親切なので、僕が発注しているならpsdでもらえれば気楽にPhotoshopで開くのでいいかな~と思いますね。jpegだって圧縮率を低めに設定したって、ブロックノイズの出にくい色味なら問題ないんじゃないかな。まぁ、何とかなるものですよ。あくまでも作り手が納品するまでを責任持つと言うことが大前提のことです。