映画で学ぶ被差別の歴史を読んだ。

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映画で学ぶ被差別の歴史
中尾健次
解放出版社

望んでいたのは被差別が映画の中でどのように物語に関わってくるか、そして物語に被差別が関わる映画はどのようなものがあるか紹介されていることだったが、被差別地域が舞台になっているとか、単純に差別されているといったものや、被差別地域そのもののドキュメンタリーが多く紹介されていた。

また、ほぼ原作付きの映画だったためか、原作の紹介が長く、映画が原作の文章を以下に再現しているかを考察している部分も多くて、原作は下敷き程度に留めておくと映画が楽しく見れることが多いと思っている僕には、長い時間を取られた気になってしまった。そして映画自体の解説も長く、それよりも被差別というものと物語への繋がりについて書いてもらえると良かった。

この本全体としての終着点として、現実の被差別地域や被差別へ収束していくので、映画がそのためのフックでしかないように思えた。確かに映画で学ぶ被差別の歴史なので、フェイクションでどのように描かれるかはどうでもいいのだろうが。
映画の中の被差別の描き方や物語への絡み方は一番最初に紹介されている、もののけ姫がこの本の中ではベストだと思ったが、それはこの本を読む前から、もののけ姫は被差別の扱い方が巧みだなと思っていたので自分の感想の確認にはなった。
それでも被差別を扱う映画のいくつかを知るきっかけにはなるので、そういう意味ではよい本だと思った。

この本とは関係ないが日本の被差別について知りたいなら、まず、カムイ伝を読んでみるのがよいと思った。

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