弾射音さんの童話、A FUNNY STORY OF A SAD STORYの表紙を担当しました。今回の童話は英語で書かれているので、まず自分で読めるようにしなくてはなりませんでした。僕は英語の読み書きが出来ないので工夫が必要です。じっくり読むなら辞書など首っ引きでとなりますが、表紙を作る為なのであまり時間をかけていられません。そういう時に登場するのが翻訳ソフトです。googleの翻訳サービスを利用しました。これが非常にシュールな翻訳をする為に概略くらいしか分かりませんでした。分かりませんでしたが、流れのある文章になっていないだけで、語句自体は理解できるし、前後の雰囲気でそれなりに読み進めました。日本語版も欲しいなあ。
そして毎度おなじみのメイキングです。
このように内容を読んだのでざっと描きます。本に手足があるのはよくある表現なのでディティールを入れる方向で独自性を出そうとしております。じつは内容を読む前に描き出しており、そのときは重厚で古い感じの本でした。そして明るく前向きに歩く、これもよくある雰囲気で描くつもりでした。
ところが、読んでみると全く逆ではないけども、ありがちに進めることはできないなと感じ、ベースになる本やポーズなどを考え直しました。どのように感じたかは内容に関わるので本を読んでいただきたいです。画像は小説を読んでから描いたものです。色をつけてあるのは全体を把握する為のものです。キャラクターの色がここでは赤に振っています。
スケッチが出来たらレイアウトを考えます。これでレイアウトが出来ているではないかと思われるでしょうが、実際の寸法、比率とは違うのできちんと正確な状態で作ります。スケッチをスキャンして作業します。
レイアウトが出来たら背景と手前のキャラクター、タイトルロゴをそれぞれ別のデータにします。それを下書きとしてプリントアウトします。タイトルロゴはイラストレータで仕上げるのでプリントしません。
ロゴタイプを描きます。
下書きを読み込んで清書です。色は文字の意味と逆になるようにしています。
色指定は思いのまま指定することができないので、文字の意味などを考慮して指定することが多いです。
背景とキャラクターを描きます。スケッチをもとにペン入れします。
鉛筆のタッチのほうが良かったかな。ペンと鉛筆の中間ぐらいが良いと思っていて、そういう質感が出せるものがあればいいのに。
色を塗ります。
切り抜き用のマスクを作ってあるので心おきなくはみ出して塗ります。
f字はその本が足りないと感じてその場で書き足しています。
それでも背景が物足りないので本を増やしています。重厚な表紙の昔の本はS字に並び、比較的色のついたカジュアルなペーパーバックはf字の並んでいます。背景がスカスカになるのでS字を増やして間を埋めるようにしたのでS字に並べるのは殆ど意味を成さなくなりました。
要素が揃ったらレイアウトします。先にレイアウトした画像に重ねて行きます。
タイトルロゴをやや大きくしたり、更に背景の本を増やしたり、それぞれの位置関係を調整したりしています。おおよそできたら背景をレイヤーごとに違うぼかしにして多少でも奥行きをつけます。立体感を狙うよりもキャラクターが埋もれないようにする作業です。
上に行くにつれて再度を下げるマスクをつけます。今回は(今回も)汚れた感じの絵で要素が全部本なので手前と奥を区別するが馴染むようにすることを意識しています。キャラクターはそれ以外が確認しやすいように非表示にしてます。
更に背景にグラデーションを入れて下からの光源を意識します。意識しているだけで、光源の位置をきちんと表現しているわけではありません。キャラクターの影も下からの光源で出来ているように見せます。ずべてリアルに光源を下にするとキャラクターが怖い印象になってしまうので、その辺りは臨機応変に作ります。Photoshopの機能でドロップシャドウをつけてもいいでしょうが、キャラクターをコピーし、真っ黒なシルエットにしたものをぼかし変形させて不透明度を調整しています。更に背景の本とタイトルロゴにかかっている部分の影を別で作り、キャラクターとタイトルロゴ、背景の本のそれぞれの空間を作るようにしています。
作者名を入れて完成です。
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