座頭市関所破り (英題/adventues of zatoichi 監督/安田公義 1964年 日本)
座頭市シリーズ第九作目。表題のように関所破りの話です。関所を通過するのではなく、結果的に関所を壊す話です。
今回も物語とはほぼ無関係の部分で子どもたちとのからみが出てくる。どこに関係があるかと言うと市が盲目であることを説明するシーンで登場だ。だからほぼ冒頭で子供とのふれあいのような感じでワンシーンがある。一作目から子どもは市と何らかの関りを持つんだけど、主人公である市がハンディキャップや前科などがあっても大人としての立場を取らなくてはならない状況を作り出してるところが興味深いと思った。市は怒りを持ってもわがままを言わないんだよね。
この九作目から当時の人気芸人や役者が出演するようになる。今回は中田ダイマル・ラケットが登場する。カメオ出演のようなものではなくかなりきちんと登場する。ちょっとした狂言回しのような役回りだ。
ヒロインはドブに映る月の如くとにかくいい人。男から見た記号のような女性だね。
今作も道中で出会った人やものを届けることが物語の主軸になる。座頭市はシリーズを重ねるうちに正統派の人情ものになっていく。
用心棒で出てくる平幹二朗が当たり前だが若い。用心棒との邂逅。敵役はどんどん単なる悪いポジションの物体になって平手造酒のようなキャラクターはいなくなった。
意地汚いジジイがいい味を出している。何言ってるのか聞き取りづらいのもいいね。柔和な感じは単に独善的なだけな点が深い感じを出している。感じだけね。
映画としてはマンネリを楽しむ見やすい痛快なシリーズもの。ラストシーンはマカロニウエスタンのようだ。
斬る音は完全に当たり前のようについている。風を切るような早く、でも太い音。今はあまり聞かないね。
髪型は散髪して五分刈りになっている。