フランケンシュタイン 恐怖の生体実験(原題/Frankenstein Must Be Destroyed)(1969年 イギリス 監督/テレンス・フィッシャー)
五作目。もうこれまでの話とは繋がりがなく、独自の物語になっている。ただ、博士は人造人間を作ることに慣れている。予算が付いたのか、時代のせいなのか、セットなどがちょっとだけ豪華になっている。最後に研究所が火事になるんだけど、前みたいに描き割りの前とかミニチュアっぽいとかそういうことは無くなった。
博士は経験を積んで来て懸案はすでにどれだけ優秀な脳を手に入れるかになってきた。今回は以前同じ脳移植の研究をしていたブラント博士に脳の冷凍保存について聞き出したかったが、心臓麻痺で余命幾ばくも無く、それならブラント博士の脳を誰かに移植して聞き出そう!というのが大体の流れ。それ以前も相変わらず研究一筋過ぎる博士の無謀な行動が綴られています。人造人間の製造についてはベテランの域で手術シーンはホラーの要素を製作時の契約で入っているだけに見えてきます。今回は特にサスペンスの雰囲気が強く、事件となる要素があるだけでサスペンスは作っていいんだなと。警察も崖も無くてもいいのだと。というか、何で警察と崖でサスペンスなんだよ。
そして、わざわざブラント教授の主治医リヒター教授を殺して移植先にします。割と軽く成功し、目を離しているとブラント博士は目覚めて出かけてしまう。今回は勝手に改造されたブラント博士の話でもあります。かなり見た目は違うけど、遂にハマー版も怪物の物語になったのです。
ブラント博士はフランケンシュタイン博士に復讐するべく家中にランプの油をまいて火をつけます。脳の冷凍保存の書類をえさにおびき寄せて。またも博士と人造人間は燃える炎に包まれて幕を閉じます。
やっぱりシリーズを重ねると怪物中心は見ている人をどうやってびっくりさせるかになってしまい、ネタのインフレに陥るから博士中心でよかったと思ったね。博士自体も怪物を作りたいんじゃないしさ。