長屋紳士録(1947年 日本 監督/小津安二郎)
おばあちゃんが主人公。で、全然いい人じゃない。悪人と言う意味ではなく、昔の人は情に厚くて的じゃない。この映画は1947年公開なので充分昔は良かったという時代だと思う。最終的にはそうなるんだけど、オチはまた違う。かなり個人的な欲が出ている。
相変わらず台詞が読まされている感じで、間も全部同じ間隔だ。ここが古臭く感じる点だと思う。絵の構成レイアウトは、古いんだか新しいんだか分からないくらいに独自だ。ストーリーは良く知られる小津作品より見やすい人情ものだと思う。個人的な情を前面に出すおばあちゃんを主人公にして映画を作ってしまう点を見所だと思っている。21世紀の今におばあちゃんを主人公にするならかなり個人的欲を捨てた人の話になると思う。おばあちゃんは仙人のようであって欲しいと願っているからだ。誰が?この映画に金を払う全ての立場の人が。
毎回同じような場所で同じようなアングルで撮っててよく飽きないよねと思う。まるで選手が二人しかいないプロレス団体の興行みたいだ。