赤ひげ(1965年 日本 監督/黒澤明)
女が子どもの頃を話して相手が気が緩んだときに殺すくだりは、ダークナイトでジョーカーが口の傷について話すくだりを思い出した。
他のシーンでも病人の狂気が出ていて怖い。
やくざ相手の赤ひげの殺陣が良かった。引きの絵で、やくざの腕や脚を素手でごきごき音を鳴らして折ったりするのだ。これまでの黒澤映画の殺陣もかっこよいが泥臭いと思っていて、それを更に土着的泥臭さを増している。
養生所のおばさんたちの描き方も、嫌なところ、良いところが混ざっていて生活観があってよかった。
金は取れるところから取るというのが、ブラックジャックを彷彿させたというか赤ひげの影響はあるだろうね。
全体的に良い人が多く登場するし、物語自体はシンプルで今から見るとやりつくされた間のある道筋だけど、それは今あるストーリーがこれの影響下にあるからだ。
映画の後半が凄まじい。貧困と無知を描いている。後半を描きたいが為の前半じゃないかな。